Bad morning のち 2（緑） ページ11
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「酔い潰れた女の子襲う趣味はないしね」
「ほんとにごめんなさい…！」
「女の子なんだから気をつけなね…
大変だったみたいだから同情はするけど」
「…それも喋ってましたか、私」
「うん、事の成り行きはあらかた」
見ず知らずの人に愚痴って介抱されて、
どこまで醜態晒したら気がすむの私…。
「あまりにどん底だったからほっとけなくてね」
「どん底…まあ…そうですね…はは…」
昨日の夜、私が酔い潰れたのは
失恋のショックに任せて自棄酒したせいだった。
5年も付き合って、同棲までした彼氏。
歳も歳だし、結婚だって意識してたのに。
出張が急遽無くなって家に帰ったら
扉の向こうから聞こえる彼氏と女の声。
寝室の扉を開けたら、
ベッドの上でよろしくやってたというわけだ。
あまりのショックに涙も出なかった。
その場にいられなくて家を飛び出して、
そのまま居酒屋へ入り、浴びるようにお酒を飲み。
私の記憶があるのはそこまで。
「これ、鳴ってたよ」
テーブルの上に置いてあった私のスマホ。
彼に手渡され、画面を見れば
大量のメッセージと着信履歴。
並ぶのは、反省の色のない言葉。
「…私の誤解なんだそうです」
「ん？」
「あんなとこ、見せられたのに、
勘違いだから帰って来いって、
お前が一番だから安心しろって」
「…」
「バカみたい…」
「一番」だなんて、なんで言えるの。
私にとっては、紛れもなく一番だったのに。
相手からは、ただの都合のいい女としてしか
見られていなかった。
こんなこと、彼に言ったって仕方ないのに。
浮気されて、お酒に飲まれて、
知らない人にまで迷惑かけて。
自分が惨めで仕方ない。
「ほんとにバカだね」
「へ…」
「彼氏。こんな良い子裏切るなんて」
そんな男にAちゃんは似合わないと思うけど。
ボソッと彼が呟いたその言葉が、
ギリギリで保っていた何かを崩れさせた。
一滴も出なかったはずの涙が溢れ出して
自分じゃもう止め方がわからない。
嗚咽を漏らして泣いていると、
不意に温かくて柔らかいものに包まれた。
仄かに香る煙草と香水。
「ごめん、泣き顔見てられなくて。
嫌だったら突き飛ばしていいから」
「もうちょっとだけ…」
「ん？」
「もうちょっとだけ、こうしててくれませんか」
返事は返ってこなかったけど
抱きしめる力と頭を撫でる手が
何よりの答えだった。
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スピリタス(プロフ) - 名無しさん» リクエストありがとうございます。書かせていただきますので少々お待ちください！ (2020年1月11日 14時) (
レス) id: f275262868 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 風邪をひいて弱っている、おついちさんを読みたいです！よろしくお願いします！ (2020年1月11日 0時) (レス) id: bcd7017aaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スピリタス | 作成日時：2019年4月7日 0時
