7話 金曜日 ページ8
時は早いもので、気づけば約束の金曜日。
例の監督の長い話も、いつもならボーッとして時間が過ぎるのを待つのだが、今日は頭の中はこの後のことでいっぱいだった。
「「ありがとうございました!!」」
あいさつが終わった瞬間、私は小走りでロッカールームへ向かった。
「ちょ、なんやA今日せかせかしてんなぁ。どうしたん。」
「伊織…。帰ったら話聞いてくれや。」
「え?あ、うん別にええけど…。」
「おおきに!ごめん先行くわ!おつかれ!」
「おつかれ〜…。」
着替えを秒で済ませ、ロッカールームを飛び出した。
今日監督ばか話長かったな。宮くん待たせてるかも。
トーク画面を開いて"ごめんな今終わったわ。すぐ行く。”と送っといた。
「あ!A先輩!おつかれさまで…」
「おつかれ!また日曜な!」
私は駅へと急いで向かった。
「…なぁ。先輩なんかええ匂いせぇへんかった?」
「思ったわ。やっぱこの後デートなんかな。」
「うわ、まじか。」
駅に着くと、宮くんが柱にもたれかかってスマホをいじってた。
少し息を整えてから、ゆっくり近づいた。
「宮くん。」
「あ、椎葉さん……って自分、走ってきたん?」
「あー。ちょっとな。待たせたかと思うて。」
「…大丈夫やで、そんな待ってへんし。」
そう言って笑いかけ、「ほな行こか」と歩き出す宮くんに着いて行った。
「え、宮くんここでええの?」
「俺、ここの飯気に入ってん。家からも近いしな。あ、それとも他のとこがよかったん?」
「いや!大丈夫やで!私ここ好きやし。」
と言うと、宮くんは「よかったわ」と笑った。
それから2人で店の中に入る、
「いらっしゃ〜……あらあら、可愛いお客さんやねぇ。」
私たちを見るなり、店長の奥さんはニヤニヤしてそう言った。
「く、クラスメイトです!」
照れるのを必死に隠してそうは言うものの、まったく効果は無し。むしろさらにニヤニヤしてた。
それからそれぞれ注文し、ふつーに食べて、お会計をして、店を出た。
いっぱいになったお腹をさすりながら、2人でまた家に向かって歩いた。
「あー腹いっぱいやわ。」
「宮くんよう食べるなぁ。見てて気持ちええわ。」
「そうか?俺は椎葉さんの食べとるとこ見るのも好きやけどな。」
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作者名:湯豆腐 | 作成日時:2023年2月28日 19時