3話 宮治くん ページ4
待って、状況が把握できない。
なんでこんなとこに宮くんがいるんだ。
目をまん丸にしている私とは別に、宮くんは平然と私の2個隣の椅子に座り、注文をしている。
てかよく平然と座れるな。私達同クラだけど話したことないぞ。
「?どうしたん椎葉さん。ポケッとして。」
そう顔を覗き込んでくる宮くん。
どうしたも何もお前のせいでこうなっているのだが。
てか待って、ふつーにご飯頼んじゃったよ。こんな陽キャの塊みたいなやつに見られたら、すぐ広まっちゃうじゃん!!
「俺ここ初めて来たんよ。」
「あ、そ、そうなんだ…。」
宮くんは色々と話題をふっかけてくるが、私は愛想笑いで全て答えた。
「Aちゃん。おまちどぉさん。」
目の前に、頼んだ野菜炒め定食が置かれる。
店長は私がたくさん食べるの知ってるから、ご飯はいつも山盛り。
「…おおきに。」
料理を受け取り、自分のところに置いた。
……宮くん、めっちゃ見てるなぁ。
「…んじゃ、宮くん。お先にいただきます。」
「おん。」
宮くんはそれ以外なにも言わなかった。
もういい。こうなったら隣の奴なんて気にしないで食ったもん勝ちだ。
そして1口、野菜炒めを口にした。
あーやばいめっちゃうまい。疲れた体に染みる。
「はい。こっちもおまちどぉさま。」
どうやら、宮くんの頼んだものが来たようだ。
宮くん何頼んだんだろ…と、隣を見て私は驚愕した。
待ってなにあのご飯の量。私より多くない!?
そうだ、ここご飯の量がそもそも多いんだ。
宮くん知らないで頼んだんじゃ…。
「あー……あかんな。」
ほら、宮くんなんか気まづそうな顔してるし。
「すんません。これ、おかわりできます?」
いやそっち!?
「もちろん。する時言ってな〜」
なんで店長も驚いてないの!?
そして宮くんは「いただきます。」と一言言って、食べ始めた。
「うんまぁ……!」
うわ、めっちゃ幸せそうな顔するな。
こんな顔するんだ宮くんて。
そんなことを考えながら、私も箸を進めた。
「「ご馳走様でした。」」
あの後しっかりおかわりしてた宮くんは、食べるのも早くて、私とほぼ同時に食べ終わった。
そして宮くんに「ほなまたな。」と言い、お会計を済ませ「ご馳走様でした〜」といつものように店を出た。
こういう時は、さっさと帰るが勝ちだ。
「椎葉さん!待って!」
振り向くと、宮くんが立ってた。
「一緒に帰らへん?」
どうしてこうなった。
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作者名:湯豆腐 | 作成日時:2023年2月28日 19時