20話 予感 ページ21
ピー!!
タイマーの音が体育館に響き、試合が終了したのだと分かった。
皆で得点を見ると、41対38で、私達のクラスの勝ち。
けっこう負けず嫌いな性格なので、ギリギリだったけど、勝てたことが凄く嬉しかった。
私が小さくガッツポーズをすると同時に、同チームの子達が飛びついてくる。
「Aー!やったやった!勝ったー!」
「ちょっ!ぐるじっ…!」
いやまじで苦しい。満員電車ってこんな感じなんだろうか。
勝ったことに騒いでいるのは、私達だけではなく、ギャラリーからも多くの声が飛んできていた。
ふと視線を上げると、銀髪の彼と目が合った。
…見に来てくれてたんだ。
そう思うと同時に、彼の手元が動いたかと思えば、小さくピースを作ってこちらに向けていた。
ふとさっきのバレーの試合の後に自分がやったことと重なって、胸がきゅうと締まった。
周りにバレないように、私もこっそりピースをやり返す。
それを見てフッと笑った顔の彼がなんかキラキラして見えたし、なによりさっきから心臓の音がうるっさい。
…なんか今日の治なんかすごくかっこよくない?
スポーツ効果か?いや元々顔整ってるとは思ってたけどさ。
てかさっきもそうだったけど、心臓うるさすぎでしょ。
治がいるってだけで、なんか過剰に反応しちゃうし。
え
これじゃまるで私、治のこと……
「A先輩!代表の招集かかってますよー」
「えっ。あーごめん。今行くわ。」
頭に浮かんだその言葉は、とりあえず胸にしまっておこう。
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作者名:湯豆腐 | 作成日時:2023年2月28日 19時