2話 どうしてこうなった ページ3
私の少し困ったような発言に、伊織は「分かっとるって」と言って笑った。
そう。私の週1の楽しみというのは、1人でご飯を食べに行くこと。
なんでこんなコソコソしてるのかというと、ぼっち飯が恥ずかしという訳ではない。
単に私が世にいうまんぷくキャラなのだ。
余裕でご飯大盛りは2杯いけるし。ご飯食べてる時が1番幸せ。
別に小学校まで気にしたことなんて無かったのだが、中学校の時に付き合った彼氏に、「俺より食う女子はちょっとな…。」と言われてから、人前でたくさん食べれなくなってった。
だからお昼のお弁当はふつーサイズ。もちろん足りるわけない。
そうなると色々ストレスも溜まるわけで、そんな時によろっと入ったのが最寄り駅の近くの定食屋だった。
もうそこのご飯がおいしすぎて、疲れも全部ふっとんだ。
そこからだ、金曜日の部活終わりになると、毎週のようにそこの定食屋に通うようになったのは。
いつの間にかお店の人とも仲良くなって、私のために席までとっててくれてる程だ。
だから毎週金曜のためにがんばってるようなもん
ちなみに、この事を知ってるのは高校では伊織だけ。
伊織は秘密とか絶対守るタイプだし、何より「Aの食べっぷりが好き。」とのことらしい。
いい友達をもったなとしみじみ思う。
伊織とも帰りにご飯を食べるが、私と伊織は家が逆方向なので、ほんのたまにしか食べない。
「んじゃ、バスの時間あるから私先行くわ。」
「おー。じゃあまた日曜なー。」
ヒラヒラと手を振り合い、私はロッカールームを出た。
今週もよくがんばった、自分。今日は何食べようか。
そうかんがえると、自然と口角が上がる。
「あ、A先輩！おつかれっす！」
「あ、おつかれ〜」
ヒラヒラ〜と笑顔で後輩に手を振った。
「先輩めっちゃ笑顔やん。彼氏いるのほんまかな。」
「まじか……。なんかショックやな。」
「こんばんわ！」
「あ、Aちゃんいらっしゃい！部活おつかれさん。」
お決まりのカウンター席に座るなり、店長の奥さんがお水を出してくれた。
そして悩んだ末決めたメニューを注文し、スマホを見つつ来るのを待つ。
「いらっしゃいませ〜。好きな席どうぞ〜」
珍しいな。この時間に私以外のお客さんか。
すると私のすぐそばで椅子を引く音がした。
え、隣？と思わず顔を上げた。
そこにいたのは
「お、椎葉さんやん。」
同じクラスの宮治だった。
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作者名：湯豆腐 | 作成日時：2023年2月28日 19時
