11話 部員とマネージャー ページ12
こないだまで少し肌寒いと思っていたが、気づけばもう7月、半袖が丁度いい季節になった。
昼休憩の時に友だちと「暑いわー」と言いながらハンディファンをつけて涼を得る。
今、クラスは再来週に行われる球技大会の話題でいっぱいだった。
種目は男子女子共にバスケとバレー。
私は経験者ということもあり、バスケの方にした。
男子の方はバレーに宮くんと角名くんがいるから、決勝までいけるのではとすごく盛り上がっている。
そういや宮くんのバレーしているとこは見たことが無い。宮兄弟は凄いとはよく聞くが、バレーの知識は全くないため、よく分からなかった。
だけど純粋に、プレー姿が楽しみでもある。
「Aー。呼ばれとるでー。」
突如入口付近にいた女子がそう叫んだ。
入口の方を見ると、別のクラスの男バスメンバーの1人が立っていた。
「ちょ行ってくるわ。」と友だちに言い残し、小走りでその人の元へ向かう。
「どうしたん？」
「球技大会のバスケの得点の話や。」
「あぁ、恒例のやつやな。」
うちの高校では、その競技の現役部員の人たちが、球技大会の試合で得点や審判をする。もちろんマネも例外ではない。
「せや。自分のクラスの応援の時は大丈夫やから、空いてる時間教えてほしいねん。」
そう言ってタイムテーブルの紙を取り出し、私に見せてきた。
細かくてよく見えなかったので、近づいて紙を覗き込むようにして見た。
「え、なぁ角名。あいつ誰や。」
「ん？あー確か4組の速水だよ。バスケ部の。」
「…なんや距離近いな。」
「知らないよ。マネと選手ってそんな感じじゃないの。嫌なら治もそうして話せばいいじゃん。」
「うっさいわ…。」
「よし。じゃー本番頼んだわ。」
「了解。それじゃな。」
話が終わると速水は自分の教室へ戻って行った。
友だちの元へ戻ると「速水くんやっぱイケメンよな。羨ましいわー。」など言われた。
確かに速水はイケメンだと思うしいい感じに筋肉もついてる。女子からの人気もあるとは聞いた。
でも本人はそういうの疎いし、私は1年の時から速水とはあんな感じで良い部活仲間なので、恋愛感情とかは抱いてなかった。
チラリと窓側を見ると、角名くんと宮くんが話しているのが見えた。
ニヤニヤしてる角名くんとは違い、宮くんはムスッとしていた。
どうせ角名くんがちょっかいでも出したんだろうなぁと、苦笑いをしながら視線を前に戻した。
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作者名：湯豆腐 | 作成日時：2023年2月28日 19時
