F-01-37 その2 ページ26
…あと少しだ…あと少しで終わる…
私は寒さで手を震わせながら食器を片付ける。
いや、手が震える理由は寒さだけではない。
怖いのだ。私は初めてHEクラスの相手をしている。
TETHクラスの空虚な夢の能力は一歩間違えれば施設壊滅の恐れがあったと、管理人に聞いた。
だから、それより危険なHEを相手するなんて心臓が張り裂けてしまいそうだ。
私は片付けをやっと終え一礼して出ようとする…
が、アブノマは灰色の手に逆さに握った剣を少し宙に浮かし…
「!?…は…?」
ガンっ…と剣の先端を地面に打ち付けたと同時に胸に違和感が生じた。
私はこれ以上何かされる前にと焦って収容室をでる。
そして胸元に目をやった。
そこには…氷の塊が突き刺さっていた。
私は情けないことに驚きで尻餅をつく。
しかし、よく見ると血は流れておらず、冷たさも寒さも感じない。
私は急いでメインルームへ帰ることにした。
そこならこの得体の知れない氷を取り除けるかもしれない。
私はメインルームを目指し、一目散に走っていく。
メインルームまで何事もなく帰ってこれた。
休憩中だったらしいリアリズムは私を見てぎょっとする。
「A…?肩や頭に雪が積もって…んん!?胸のそれどうしたんですか!?」
リアリズムは私から雪を払う。
「えっと…リアリズム、この氷はアブノマに作業中に付けられて…抜けないかなぁ、これ?」
そう言って私は胸の氷を引っ張ってみるけれど、びくともしなかった。
「うーん…抜けそうにないですし、抜いたら悪いことが起こるかもしれないし…管理人の指示を待ちましょう、A」
私はリアリズムの言葉に頷く。
確かに胸に埋まったこの氷を抜いたらろくなことが起こらない保証は無く、アブノマの能力の詳細や発動条件もまだわからない。
「にしても、寒くないんですか?さっきまで体に雪を積もらせてましたし。よかったらコーヒー飲みますか?」
リアリズムがそう言ってくれたが私は大丈夫だ、と断った。
この氷の塊が突き刺さってから不思議と寒い気がしないのだ。
私は管理人の次の指示を待つ…
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なっしん(プロフ) - インディゴのロボトミーコーポレーション好きさん» コメントありがとうございます!魔弾さん、とてもかっこいいですよね!はたしてこの投稿ペースで出せる日は来るのか……出したいですね(´・_・`) (2023年3月28日 22時) (レス) id: 422472f880 (このIDを非表示/違反報告)
インディゴのロボトミーコーポレーション好き - とっても面白いです!私は魔弾さんがすきです!出してほしいです.. (2023年2月8日 17時) (レス) @page9 id: 1489bcb344 (このIDを非表示/違反報告)
なっしん(プロフ) - エリーさん» コメントありがとうございます!死蝶さんはそのうち出演予定となっております! (2021年2月14日 21時) (レス) id: 422472f880 (このIDを非表示/違反報告)
エリー - 死んだ蝶の葬儀出してほしいです…!一番好きなアブノーマリティなので! (2021年2月14日 18時) (レス) id: 069e45f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
なっしん(プロフ) - 化け猫さん» コメントありがとうございます!好きなセフィラはビナー様ですね!カリスマ!好きなアブノマは自分の名前の由来にもしている何もないくんです。更新頑張ります!励みになります! (2020年12月21日 17時) (レス) id: 422472f880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なっしん | 作成日時:2019年4月20日 0時