く り か え し 【 Reo.S 】

どうして ページ37

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憂鬱な気持ちで押しつぶされそうになりながら
"いつもの所"のドアを開ける


リビングには佐野くんの姿はなく
きっと寝室だろうと覗けばやはりそこには
ベッドに腰掛けてスマホを弄る佐野くんがいた


『鍵返して』

「…第一声がそれかよ」


ここに座れと言わんばかりにベッドを叩く
一応…ここは従っとく…か


ベッドに座る私と
少し離れた場所で仁王立ちの佐野くん



「鍵は話終わったらな」

『話すことなんてない』

「俺はある」

『聞きたくない』



話は平行線を辿るだけでなかなか進まない

聞かない聞きたくないの一点張りの私に
佐野くんの機嫌が悪くなっていくのがわかった


佐野くんがブチギレるのが先か
私の気持ちに限界が来るのが先か



『聞きたくないって言ってるでしょ！！！！』



私に限界が来るのが先だった


今までこんな声出したことがない
叫んでるような泣いているような
声にもならない声

ちゃんと喋れているのかさえもわからない



ムカつく

ムカつく！！


私の気持ちを弄んだくせに！！
自分の都合で捨てたくせに！！！
結婚して昇進して幸せなくせに！！


私の…馬鹿な誘いに乗ったくせに……！！



『今更話すことなんてない！！！！』



この怒りを何かにぶつけたくて
手近にあった枕を佐野くんに投げつけた

佐野くんはそれを避けることも出来たのに
なにもせず枕は顔にヒットした




「ってぇ、」


痛みに顔を歪ませる佐野くん


『っ、はぁ、はぁ……』

『……、何を話すっていうの…』
『ただ会って身体を重ねるだけの関係に』
『デートって必要かな？話って必要かな？』



「…ごめん」

「俺さ、正直Aに誘われた時まじで嬉しくて」
「Aがまた俺のそばにいてくれるんだって」
「そこに気持ちがなくても俺の隣にいてくれるんだって」


『やめて』


「でも、Aが男といて…本命とか言い出すし」


『やめてよ！！！』



「焦って…Aが俺の事好きになってくんねーかなとか」

「思ったり、して……」

「俺さ」



『嫌！！！聞きたくない！！！』


その先を、言わないで
思わず佐野くんの胸ぐらを掴んだ

バランスを崩して2人して床に倒れ込む









「……俺、Aの事が好き」




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