く り か え し 【 Reo.S 】

出会い(過去編) ページ3

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貴方と出会ったのは忘れもしないあの春のこと



大学の入学式


満開の桜が舞い散り
私たちの入学を祝うかのように
当たりをピンク一色に染めていた


式が行われる少し大きめのホールは
これから始まる新しい学生生活に期待を寄せた
新入生でいっぱいになっていた


皆静かに式辞を聞いている中、

私はー…



『……っくしゅん！』



桜に負けじと舞い踊る花粉と戦っていた


『花粉は舞わなくていいんだよ……ずびっ』


もう鼻をすすり続けるのも限界だ


『あれ…ない』


朝絶対に入れてきたはずのティッシュ
どれだけカバンの中を漁っても見当たらない


「これ使えば」

『え？』


隣に座る少しムスッとしている男の子から
差し出された新品のティッシュ


『いいの？ありがとう』


受け取ろうと手元を見ると
なんだか震えているようにみえる


「……くくっ」

『…？？』


声を押し殺して笑っている彼は
あどけない子供のような笑顔で言い放つ


「ねぇ…ふっ……垂れてるよ」

『えっ！？わ、やだ！！！』


慌てて貰ったティッシュで鼻をかむ

最悪

鼻水見られた…


恥ずかしさで顔が熱を持つ



「はは、顔と鼻、真っ赤」

『みないで』

「あ、鼻水また出てる」

『えっ、嘘！？』

「うっそーー」

『ちょっと！！！』



無邪気な笑顔の彼をみて
私の胸は大きく高鳴った


キラキラ輝く大学生活の始まりの合図




これが私と佐野くんの出会いだった







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