く り か え し 【 Reo.S 】

対立 ページ29

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「A？」

「は？お前何してんの？」



『佐野くん…』




どうしよう

どうしたら…


ふと繋がれた手に力がこめられ、
裕太さんの方をみれば眉をひそめて
佐野くんを凝視していた


裕太さんに頼っちゃダメだ
私が…自分で解決するんだ




『さっ、佐野くんこそ！仕事終わったの？』



声が裏返ったけど自然に言えた！
大丈夫、大丈夫。



「……質問してんのこっち」


心の中でガッツポーズした私とは裏腹に

佐野くんは明らかにムッとした表情で
腕を組み私の目の前で仁王立ち


なんか…浮気がバレた彼女みたい…
なんて思ったり



『…ぁ、ごめん…』
『えっと…買い物してた』


「買い物？なんの？」


『特に…何ってわけじゃないけど』


「こいつ誰？」


『こいつって…失礼なこと言わないで』
『行きつけのお店の店長さん』


「どんな関係？」
「なんで手繋いでんの？」



なに？どうしてそんなに質問ばっかりなの？
はやく答えろと言わんばかりに
佐野くんの指が一定のリズムで動く



『どうしてそんなこと聞くの？』


「だから、質問に質問で返すなって」


『私はさっき答えたじゃん
次は佐野くんが答える番でしょ？』



「いいから答えろよ」




何がそんなに気になるの
何がそんなに気に入らないの

私は佐野くんの彼女じゃないんだから
こうやって問い詰められる意味もわからない

私、何も悪いことしてないじゃんか




「A聞いてる？」


「あのさ、さっきから黙って聞いとったら…君は誰なん？Aちゃんの何なん？」


「は？」


「急に話しかけてきて失礼やと思わへんの？」
「しかも"こいつ"って…」


「あなたには関係ないんで」


「そら2人のことやし関係ないやろうけど
Aちゃんが困ってるんはわかるで？」


『裕太さん……』





「………はぁ」

「A」



『うん？』


「今日いつもの所」


『えっ、』


「待ってるから」





このままじゃ埒が明かないと判断したのか
それだけを言い残して佐野くんは立ち去った






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