く り か え し 【 Reo.S 】

2つの着信 ページ15

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馬鹿みたいに走り回った挙句、
結局家に帰った

足に力が入らなくて玄関に座り込む

2人のことが頭にフラッシュバックして
自然と涙が溢れた

何度もあの二人を見ているのに
それでもこんなに涙が出るのは…


あの一瞬
裕太さんを利用しようとした自分がいたから


私にも佐野くん以外の相手がいるんだよって
佐野くんにひけらかそうとしていた



それがどんなに醜くて恥ずかしいことか

裕太さんの優しさにつけこんで…
最低だよ



〜♪



着信を知らせる画面をみると裕太さんからだった



出れないでいると切れて
代わりにメッセージがきた


" 無事に帰れた？
今日は俺の我儘に付き合ってくれてありがとう。
体調悪そうに見えたけど…暖かくしてゆっくり休みや "


メッセージをみて更にいたたまれなくなった
裕太さんに甘えてはいけない
こんなに優しい人に…



〜♪


また着信を知らせる音楽



『っあ………』


画面には久しく表示されることのなかった名前


" 佐野玲於 "


『も、もしもし…』

「ふっ、相変わらず出るの早いね」

『え、そ、うかな？』



耳をくすぐる彼の楽しそうな声


「元気？」

『うん…元気だよ』

「なんか声変じゃね？…泣いてんの？」

『…………うん、寂しくて泣いてた』

「寂しい？なんで？」

『佐野くんに会いたい』

「……今日はなんか素直じゃん」

『たまにはいいでしょ？』

「うん」
「ご希望通り会ってあげてもいいけど？」

『え！？いいの！？』

「うるせ、急におっきい声だすな」

『ごめん……あ、準備するね』

「あーいい。今日はそっち行くわ」

『う、うん！！待ってる！』



電話を切ってスマホを握りしめる
……会える


佐野くんに会えるんだ…





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