平和主義者の鉄則 その十六 ページ17
【家族のありがたみを知るべし】
ボフッ…
あの後、お互い話さずに、黙々とご飯を食べた。
口に料理を運んでも、味がしなくて。
頭が働いてくれない。
『“宮城から東京へ引っ越すことになったの”』
それも、あと、二週間しかない。
平和主義者として、地味で安全に生きて来た。
だからと言って、
別に友達がいないわけでもなかったし、
クラスが心地よくないというわけでもない。
ただ、びっくりした。
急に言われて。
思えば、あと二週間であの子を一人前にできるの?
あの子と自分を重ねてしまうのに?
今の僕じゃできないよ…
どうすればいいの…?
コンコンッ
考えすぎて、ノックに驚いた。
『は、はーい!』
「お風呂湧いたよ〜」
母のようで、もう風呂の時間。
『はーい!』
いつものように返事をする。
でも、いつもなら降りていく足音が聞こえるのに、まだ聞こえない。
なんで?どうしたんだろう?
少し経って、母さんの声が聞こえた。
「Aはさ、昔から自分がどうしたいかって、私たちに言ったことなかったのよね。
私が勧めたもので遊んで、自分が遊びたいものとか、欲しいものをねだらなかった。
別に、それが良くないってわけじゃないけど。
思ってることをちゃんと話さないと、何も出来ない。
自分がやりたい事が出来なくなるわ。
だから、
時間は少なくても、
Aがやりたいことをすればいい。
それと、そろそろ、
・
過去の自分を許してあげて…」
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民(プロフ) - ユウさん» ありがとうございます。 (2017年6月5日 18時) (レス) id: 8dfbbd9c22 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - 更新頑張ってください!面白いです! (2017年6月5日 16時) (レス) id: bc86693516 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:民 | 作成日時:2017年6月5日 0時