君の隣。《黒》 (ページ9)

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余命半年と言うのに、日にち感覚が薄れていた。

いつも同じベッドの上で小さな窓から景色をみる

もう1週間が経ってる

特にやることが無いから、
このまま死んでいくんだって静かな恐怖に襲われた。

「松村さーん。病棟移りましょうか」

そうだった、今日でこの部屋とはお別れか

少ない荷物を持ってもらって

点滴を押しながら院内を歩く

「次のお部屋は窓が大きくて、開放感がありますよ」

「そうなんですか、良い部屋ですね」

佐藤さんは明るく振る舞ってくれているけど、

窓の大きな部屋は、緩和ケア病棟のこと

つまり終末期の患者が行く所だ。

あっという間に俺も終末期

考えられないな。

そこの病棟は他の所と雰囲気が違った

特に緊迫した様子もなく、落ち着いてる。

「このお部屋です。どうですか？」

個室で10畳の広い部屋

セミダブルのような前よりも大きい医療ベッド

確かに窓が大きくて、新しい光が差し込む

「凄いですね。病院にもこんな部屋が…」

来客用のソファはベッドのすぐ隣にあって
みんなが来ても大丈夫なようになっていた

そして佐藤さんは退出して

この広くて明るい部屋で1人。

もっと生きたいな…

叶えてない目標が山ほどあるのに

早すぎるよ。

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