# ページ23
藤井流星.
病室に着いた頃には、辺りは暗くなり
淳子さんから説明を聞き
「辛い時期やから寄り添ってあげて。」
と言われ部屋に入った。
そこには
1本の点滴に繋がれた、弱々しい姿...
守らなあかんって思ったくらい
見た目に心も体も相当弱ってたんちゃうかな。
あの時、無理に離した手が少し疼く
「ごめん遅なった。」
目線で「うん。」と頷く彼女
ずっと俺の事待っててくれたってことか...
そんな時になんで仕事優先にしたんやろ。。。
アホや、、
今になって後悔しても、もう遅いってな...
言葉を掛けれないまま、
ベッドの傍にあるイスに腰掛けた
彼女は少し震えた声で
「赤ちゃんのこと聞いた...?」
「うん。淳子さんから聞いた」
「私、ちゃんと産めるんかな__________
自信なくなってしもた...。」
不安な気持ちは顔にも出てた
涙も出てない、虚ろな表情で俺を見る
大丈夫や!って言いたいけど言い出せなくて
つわりで不安定だった時よりもずっと心が痛そうやし、体調も万全ではない。
なんて、声かければええの...
ただ口に出すのが怖かった
その時
彼女は膨らんでないお腹の上の布団をぎゅっと握り
「お母さんになるのって...
なんでこんなに、、苦しいん.....?」
声を殺し泣いていた
そんなん。。俺に聞いたって分からへんよ....
それより申し訳ない気持ちでいっぱいになった
智子を苦しませてるみたいで。
無理して母親になろうとしてるんじゃないのか、
少し疑ってしまった
気持ちとは裏腹に時間だけが過ぎて後戻りが出来ないみたいに。。
俺が苦しませてる・・・?
こんな頼りないヤツでほんまにええんかな・・・。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2018年11月18日 16時