~INCOMPLETE~《赤》 (ページ33)

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#31 ページ33

重岡大毅.

俺の心は紛れもない自分自身

何年もかかるような治療やったのに

中間先生も驚くほど早く治療が終わった。

俺自身でもよく分からないぐらい

自分を受け入れていた。

不思議な感覚だった、

前までの自分がちっぽけで可笑しくて笑える

中間｢なんか...お前、変わったな。
これからはもう1人でも大丈夫や。｣

その言葉は退院を意味する

｢弟よりか、遅いですけどね。｣

そう、あいつが病院を居なくなってから

約1年が経とうとしていた

まだあの紙切れを覚えていたらの話やけど

その為にここまで頑張ってきた。

逆にあいつに治してもらったのかもしれない。

その目標があったからこそ、

自分と向き合えた。

退院の日は静かに迎えた

質素な朝ごはんも、その器も馴染みがあって持って帰りたい。ここで食べ切るのは惜しかった。

人との触れ合いがない病院の別れは、

主治医と担当の看護師さん2人とだけ。

こんなもんか...そう感じた。

｢ほなな、もう帰ってくんなよ。｣

最後に先生の言葉をもらって、

行くあてもない俺を見送ってくれた

色々仕事は探してくれてたみたいやけど

ごめんな、先生。

これだけは頼む。

これ以上頼るつもりはない。

弟と約束したからには、それを果たさなあかんねん