訪問 ページ39
「とりあえず来ては見たけど……」
放課後、帝国学園本校舎前に悠里ははるばる訪れていた。
「宛は特になし。強いていえば設備の豪華さは理解出来たって程度だよなぁ」
「そんな腕でわざわざここに何の用だ」
「そっちこそ。学園前に立ってるだけの私服の男一人にわざわざ何しに来たの」
「お前はただの私服の男で済ませて良い奴ではないからな」
「それは不審者的な意味で？」
「知名度的な意味でだ」
軽口の応酬はまだ二度目のはずだったが妙に口には馴染む。
「それで、何しに来たんだ？」
「帝国学園の偵察？」
「……そんな馬鹿正直に答える必要あるか？」
「分かりきってることで嘘ついてもしょうがないかなって」
「それはそうだがな」
鬼道はため息をついた。
「お前だから余計にだが、俺たちの情報を簡単に漏らす訳にはいかない」
「でしょうね。でも俺たちの試合には来てたでしょ」
「試合は一般公開されているからな。お前も見に来るといい。その腕では次の試合は出られないだろう」
「言われずともそのつもり。次だって、その次だって雷門は勝って見せるから」
「随分な自信だな」
「俺はみんなを信じてるし、みんなが信じてくれているのもわかるから」
「まぁ精々励むことだな」
「そっちこそ。春奈ちゃんを泣かせた罪の償いを見てないんだからなコノヤロー」
「……あのやり取りの続きをする気は無いぞ」
「俺もです。でも言えるうちに言っとかないと損かなって」
鬼道は無言で悠里に背を向けた。悠里もまた、それを見て帝国学園を後にしたのだった。
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雨(プロフ) - アカヤさん» ありがとうございます！再開するので楽しんでいただけると幸いです！ (2021年3月18日 0時) (
レス) id: 9167c7bcd3 (このIDを非表示/違反報告)
アカヤ(プロフ) - すごい面白いです！更新お待ちしております！ (2020年10月3日 20時) (レス) id: c94cddf62e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨 | 作成日時：2020年2月9日 20時
