禪院さんはコミュ障卒業 (ページ3)

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｢術師だけの世界を作るんだ。子供じゃないんだから、誰にでも理解して欲しいとは思わさないさ。｣

一言一言傑の言葉が重かった。

これが、傑と言葉を交わす最後になるんじゃないかって考えずにはいられなかった。

｢悟とも話したんだ。生き方は決めた。あとは自分にできることを精一杯やる。｣

｢殺したかったら殺せばいい。それには意味がある。｣

｢Aにも悟にも、辛い思いをさせるね。けど私は、高専で過ごした日々まで憎かったわけじゃない。｣

呪いはこうも人を変えるのか。

傑はどれだけのものを背負ってきたのだろう。

私は、傑が欲しい言葉もやりたいことも一緒に叶えてあげられない。

｢私は否定しないよ。傑は優しいから。｣

｢そう言うと思ったよ。｣

にこりと微笑む傑。もう戻れないはずなのに、まだ高専にいたころの傑の姿がフラッシュバックする。

｢傑。いなくなっちゃうの…？｣

傑は何も言わずに立ち去ろうとする。

でもやっぱり、大切な人が孤独になるのは嫌だ。

大切な人に何も言えないままじゃ嫌だ。

｢傑……！！いかないで…。｣

スカートの袖を掴んで、涙を必死に堪えて口から出た言葉はたったそれだけ。

一瞬立ち止まった傑は、振り返らずに手だけを振る。

初めて、声をあげて泣いた。

初めて、人との別れがこんなに辛いと思った。

傑は、死ぬわけじゃないのに。

言いたい言葉は、言えなくなってから気づく。

まだ、あとほんの少しだけ繋がっていたかった。

゛ごめんね゛聞こえるはずのない傑の声が、頭から離れなかった。