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｢やあ。久しぶり。｣
｢………犯罪者。｣
｢はは。そうだね。｣
新宿の廃ビルの屋上で、一人街の景色を眺めながら座っているとふと懐かしい匂いがした。
隣に座ったのは、やっぱり傑で言いたい言葉は出てこないのに言いたくない言葉が出た。
｢呪術は非術師を救うためにあるって言ったのは、傑…。｣
傑はうん。と頷きながら私の次の言葉を待つ。
｢意味の無い殺しはしないんじゃないの…。｣
｢私は、前の傑が好きだった。優しい傑が、好きだった…。｣
｢でも、心のどこかでこうなるって分かってたのに傑に何も声をかけられなかった。｣
｢私は……大切な人が苦しんでる時に、何も出来ない…！！！！｣
思わず声を張りあげれば、それを合図に止めどなく溢れてくる涙。
そう。私は、兄が苦しんでいた時も、灰原と七海が苦戦していた時も、傑が悩んでいた時も。
なにかができる状況だったのに、私は何も出来なかった。
そんな矛盾は私の心をいとも簡単に壊して。
｢傑が…私を変えてくれたんじゃん……。｣
隣にいる彼は、私を抱きしめずにただひたすらに頭を撫でるだけだった。
それがとてつもなく悲しくて、涙が止まらなかった。
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りんご - この作品が大好きです！応援しています！ (2021年9月1日 16時) (
レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜行性 | 作成日時：2020年12月21日 0時
