【実況者】嘘にアイサレテ【キヨ】【フジ】【ヒラ】〔完結〕

Episode11 ページ11

ヒラside


今日は久しぶりにAに会いに行こうと思い俺は電車に揺られていた。


振ったと言っても、Aとは実況者仲間として仲良くしたいと思っていたから。


Aが俺を裏切ったと知っても


それくらいに、俺はAを溺愛していた。


〈次は───駅、───駅です〉


✩ ⋆ ✩ ⋆ ✩ ⋆ ✩ ⋆ ✩ ⋆ ✩ ⋆ ✩


Aのマンションの前に着いた俺は恐れていた光景を目の当たりにした。


そこには、手土産を片手にAの家に入っていくキヨがいた。


(やっぱり、フジの言った通りだったんだ)


Aがキヨと浮気している。


それは、フジに言われて知ったこと


本当はもっとキヨとAを問いただすべきだったんだろうけど、フジにこれからの実況収録に影響が出るといけないからなるべく穏便にことを済ませろと言われていた。


だから、俺は浮気に気づいてないふりをしてAに別れを告げた。


Aに面と向かって、嫌いって言われたくなかった俺のエゴもあったのかもしれないけど。


心の奥底ではフジの勘違いじゃないかと思ってた、でも、キヨが手土産を持って入って行くとこを見てしまった今、嘘だって自分を誤魔化せない。


もしかしたら、Aとよりを戻せるかもしれない、なんていう浅はかな考えはいとも簡単に打ち砕かれた。


(もう、今日は帰ろう)


楽しみにしていた気持ちがすっと影を潜め、俺の瞳にはうっすらと涙が溜まっていた。

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