『傷付け合って生きようか』~season III~

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A「…」









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傾き始めた夕陽が
外に出ればもう、見えなくなりそうだった。





久々に着た
コートの代わりのライダースジャケット。





あの日、

ほんとは____








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A『ねぇ！』









無名街から出て行く広斗を追ってた。









広斗『…』









振り向いた広斗に


言いたい事言えなくて

聞きたい事聞けなくて









広斗『…何だよ』









立ち尽くした私に

ゆっくり近づいてくる広斗。




何だよって…

こっちが聞きたい









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広斗『言いたい事あんなら言えって』




A『…』




広斗『おい、』









昔から…

よく言われた気がする。


"言いたい事あんなら言え" って。


いつも溜め込むから。









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A『…行くの、ほんとに』




広斗『…兄貴の事知りてぇし。そのために来たんだ』




A『…』









なんだ、、


やっぱ会えたのは偶然だった訳か。



偶然、無名街に来て

偶然、そこに私がいた。



それで…

哀れだと思って慰めてくれた…








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広斗『お前は来んなよ』




A『…』




広斗『…つっても、行くんだろ笑』









それなのに

分かったような言い方して


笑って…





もうほんとっ、









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A『…手、握ったじゃん』





広斗『…あ？』









嫌だったよ。

あれだけなのに、
嫌だったんだよ。






それだけ言って戻ろうとした。


なのに、









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広斗『A』




A『…』




広斗『怪我すんなよ』








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まっすぐ見てそう言われてた____







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あれは…

誤魔化された…のか




てか、結局何も聞けてないじゃん。








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でも、


今はそれでもいい。









A「…」









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向かうのは湾岸。



今日は本気で。

だから…



久々に見るフルフェイスのメット。

雨宮のマーク。


でも被らない。喧嘩に邪魔だから。









それを片して

サングラスを掛けて、エンジンを吹かす。







懐かしいこの感じ。







そっと耳に触れて見る。

そこで揺れるのは








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あの日探した


"無くしてはいけないもの"




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