ユナカイト治療院にて！【派生作品】 (ページ9)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:1,179 hit

ゲルマの独白≪1≫ ページ9

私は昔、医者であった。今もそう名乗ってはいるのだがそれは一旦置いておく。

私はあの頃ゲルマと名乗っており金持ち相手に医者の真似事をしていた。
服装をある程度整え、ただの風邪を難病だと言い換え、誰でも作れる栄養剤を幻の霊薬だと言って高値で売り付けるだけの仕事だった。

まぁつまり、医者とは名ばかりの詐欺師である。
しかし医者の名家に生まれ幼い頃から医学の知識を詰め込まれていたので診察に間違いは無かったし、渡した薬も体に悪いものではない、本当に厄介な病気であれば本気で治療をしていたので全てが全て詐欺ではなかったと言い訳しておく。

少し話は変わるが、ここ最近、金持ちの間で宝石人形(アリス)と呼ばれる人のように動く美しい人形を飼うことが流行っていた。
私は客にしているのが金持ちなので、その人形を仕事先で見かけることが多く、その殆どに首輪がつけられていたりキズがついていたりストレスの捌け口に利用されているのを知っていた。

しかし所詮、物である。
所有者が所有物をどう扱おうが私には関係ないと冷めた感情をもっていた。
それに、人形なのに何かを訴えるようにこちらを見てくる目が不気味で少し苦手だった。