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50 hongo ページ1
hongo side
独りで苦しんでいた
仲間と馴染めないのも、誰かに嫌われるのも、こいつにとっては俺が思うより何倍も辛いことだった
この船に乗って初めてこいつが海に落ちた時
わざとだとすぐ気づいた
丁寧に貸していたヘアゴムが机に置かれていたから
海から引き上げ医務室に運ぶ
髪も服も濡れている
Aの表情は気力を無くしたように暗かった
"消えたい気持ちは誰にもわからないよ"
肩を支え歩く俺にそう言った
その時は風邪を引かせまいとタオルなどを持ってくるなどしていてその言葉の意味を深くは考えなかった
でも、あの時からすでにこいつは苦しんでいた
あの時何もしてやれなかった俺とは違う
今、俺はお前に何をしてやれる？
側にいて話を聞くだけしかできないのか？
それだけじゃお前は救われないだろ
A「…わたしを、きらいにならないで」
「当たり前だろ」
嫌いになんかならねぇよ
こいつは俺が守らなければならないから
今まで苦しんだ分、泣かせた分、それ以上に
俺がAを幸せにする
「俺はお前が好きだよ」
そう言って口づける
お前のことになると余裕なんてどこかへ消えてしまう
お前より年上なのに中身は随分と餓鬼だな俺
謝るよ
勝手に誤解してお前を拒んだこと
もう泣いてるのは見たくない
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作者名：ポテト | 作成日時：2022年9月18日 19時
