エピソードオブユー４《ハイキュー》 (ページ38)

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ーエピソード 187 傘1本ー

your side.*･ﾟ

2人の練習が終わり、
潔子先輩と日向くんと分かれると
丁度雨が降ってきてしまい、傘を持ってなかった私を
影山くんが家まで送るといい着いてきてくれている

隣を歩く影山くんはいつもより歩くスピードを落とし
私に合わせてくれているようだ

『肩濡れない？』

沈黙を破ったのは私だった
さすがに何も話さないのは心地が悪い

影山｢あぁ。｣

そう返事をするが影山くんの反対側の肩は
明らかに傘からはみ出ている
私が濡れないように、ずらしてくれていた

『今日は優しいね影山くん』

影山｢あ？今日はってなんだボケェ｣

片眉を上げ、不機嫌そうにいつもみたいに暴言を吐く
それに私はケラケラと笑い
やっぱり優しくないっとイタズラに言う

『でも、ボールを触るこの手はとても優しい』

傘の取っ手を持っている影山くんの手にスっと触れる
雨のせいか秋の寒さのせいかひんやり冷たく感じる

影山｢…ぅ…なんだよ｣

『いつも不機嫌な顔してて、ボケボケ！って
怒ってるのに、たまーに優しいからどれが影山くんか見分けてるの。試合中の影山くんは優しい影山くん
今も優しい。あとね、声もとっても優しく聞こえる』

影山｢おれは別に優しいとかじゃねえ
トスをあげるのも優しさじゃねえし、上げなきゃ
勝てない。それにお前を送っていくのも、風邪…
引いたら困るだろ……ボケェ。｣

後半ボソボソという影山くん
最後にはお決まりのボケ

ぷッと笑うとなんだよ…と睨まれるが、
お構い無しに笑い続ける

『ねえ、知ってる？
人間の声が一番綺麗に聞こえるのって
雨が降ってる時の傘の中なんだって』

影山｢へぇ…｣

『あ、興味無さそう！
人間の声が雨粒に反射し傘の中で共鳴して
特に雨量が大きくて、囁くような声の時が
最も美しく聞こえるらしいの
影山くんの普段の声って私にとっては優しいから
今とっても綺麗に聞こえてるんだなって
嬉しくなった！』

興味無さそうな影山くんを横目に
本で読んだ知識を話す

影山｢つまり今、互いにとって
今1番綺麗な声を聞いているってことか｣

『え？』

大きな雨音に混じり、影山くんの声が呑まれて
よく聞こえなかった

影山｢風邪ひくぞ、早く家入れ｣

『あ、うん…じゃあ、ありがとう！また明日ね！』

家の門まで押し込む影山くんの強引さに押され
聞き返すことは出来ず分かれる

いよいよ明日は白鳥沢戦！