彼の苦労 ページ8
スタジオの隅っこに移動し、笹下さんと一緒にリハーサルを見学する。
…明らかに、僕の時より念入りだ。
いや、最早当日リハーサルの域を超えているような気がする。
「アイドルの人達って、リハーサルあんなに念入りにするんですか？」
「いや、俺の知る限りではFhizzくらいですよ。
本人達が望んでいるわけではなく、スタッフ達が不安なんです」
“見てくださいあのAの顔” と指さした先にいるAは、
明らかに不機嫌オーラを纏っていた。
早く帰りたそう、、(苦笑)
「相川さんに会いたくてうずうずしてますよ」
「いやいや！それは…」
「ほんとですよ？毎日毎日飽きもせず、相川さんの話を…」
「っ、え、えっと、す、スタッフさん達が不安というのは！？」
何となく気まずくなりたくなくて、話題を変えた。
けれど、笹下さんの表情が曇ったように見えて、もしかすると間違えてしまったかもしれない。
「…芸能界の闇をお見せしてしまうので、
Aに怒られそうですがまあ、
要はミスをするとスタッフが叩かれるからですね」
「スタッフさんが、？」
分かっている、深堀してはいけない空気なのは分かっているが、口が滑ってしまった…!!
あぁもう！
笹下さんとはもう少し他人地味た関係でいたかった…。
芸能界の闇だなんて知りたくない……。
「業界ではかなり有名な話なんですが、
昔生放送でカメラワークをミスしたカメラマンがアンチのせいで辞めたんです」
「…えっ？」
「かなりベテランの方で、色んな番組ディレクターやテレビ局の方たちに責められましたね。“治安が悪いのはFhizzのせいだ”と」
そんな…。
「ネットの世界では、害悪行動した人が叩かれますが、
アイドルの世界は、害悪がいるグループが叩かれるんです」
「な、なんでそんなこと…」
「簡単な話ですよ。被害者側からしたら、ただ共演、ミスしただけなのに叩かれるのはFhizzのせいだって」
…だからA達とスタッフさんの距離感に違和感を感じたんだ。
やり取りは聞こえないけれど、何となくお互い遠慮しているような、そんな空気がある。
「自分たちの所為で誰かが叩かれて、そしてその人に叩かれる。
…どうか、相川さんだけはこれからも気の置けない存在でいてください」
「えっそ、そんな頭を上げて下さい！」
急に頭を下げられて思わず腰が低くなる。
「…僕だって、Aには色々と助けられてるんですから」
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ちよひめ(プロフ) - 需要あります！次の作品も待ってます。本当におもしろかったです。 (2022年8月22日 10時) (
レス) @page50 id: 7bd8410718 (このIDを非表示/違反報告)
ルム - 最高です 神作品です何回も読んでしまいます！！！更新じゃんじゃんしてください！！！神作品でもう出会えて嬉しすぎます！更新待ってます！！！ (2022年5月30日 15時) (レス) @page35 id: cfcfb7c0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楽流 | 作成日時：2021年12月24日 9時
