刀が五本 ページ6
誰もいない屋敷の中で、一人でいる。
いつものように自分が住んでいる部屋が小さいマンションでない分、虚しさと胸を締め付けるものが多くなる。
意識せずに床や壁を眺めてしまう、毎日の筋トレで少し背中が痛み赤くなっているから湿布を貼ろうとしたがグチャグチャになってしまった。
「……」
何も一人でいる事が悪いとか負けとは思っていない、生涯独身でも誰よりも幸せみたいな変に達観したオジさんとか居酒屋でよくあってた。
要するに一人でいても二人でいても哀しくなった時点で負けだと思う、これまでの行動もあの二人と話していた時も孤独にKO負けしているんだよね。
毎日がボロ負けで、人とは違う優しさを持った二人と触れ合った事で更に負けた感が増えたのも否めない。
オーバーキル気味に負けている、愛とかそんなもの要らないとか欲しいとか言うけれど私にとってそれは身近にあるから気にしない事でもなくて意識する事が殆どないものなのだ。
家族でさえ愛があるか不確かで、言うなれば関心がない友達感覚なのだ。
子供が泣いても慰めの一つもない、けどそれが普通なのだろう。
他の家族のことなんて知らないから今はそれが普通だと思っている。
「ただいまー主、軽傷だけど傷を負っちゃっ何してるの主！？」
「筋トレ」
「ここでやる！？」
筋トレと言ってもダンベルではない、天井にゴムの素材をくっつけて結構本格的な逆さまにぶら下がってダンベルを両手で上げ下げしながらそのまま上体起こしをする。
スポーツジムを数年にわたり休みなしで通い続けた結果だ。
「どこを目指してるの主は！？」
「いつの間にか家で本格的なものを作ってそれで何時間にも渡って筋トレしている…よくある事だよね」
「いやないよ！」
「え、ないの？」
会話しながらも汗を流しながら顔色一つ変えずに会話する小鳥と冷や汗が止まらない大和、本当に変な人とは見ていたがここまでとはと苦笑する加州。
この後、二人でなんとか小鳥を下ろした。
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作者名：楽凛 | 作成日時：2019年8月9日 1時
