刀が十四本 ページ15
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「趣味ある？筋トレ以外で」
「……」
あの奇妙で気色悪いフランスパンを持った小鳥が質問してきた、がそれは夢でビクッと身体を揺らして起きた。
答えはノー、筋トレだって心の隙間を埋めようと無意識に取っている行動なのだから、趣味と言ったら趣味だろう。
「朝が、来てしまっ」
「おはよう主！」
「……」
「あれ、無反応？」
「何で天井から顔だしてんの」
声の主は昨日最後に鍛刀した結構強いらしい鶴丸という真っ白な奴、私が胴体を起こすのと同時に軽く天井から降りてくる鶴丸。
顔は少し拗ねていると言えばいいか、驚いてくれなかったとぼやく程。
「鶴丸、さっさと出てって着替えるから」
「分かった見てる」
「折るよ」
「冗談だって」
モーニングコールも済んだし朝餉楽しみにしてるよと笑う姿は好青年、昨日普通と吐き捨てたことを気にしているか否か。
そんな事一々気にする人などいないが、彼は人ではなく神の端くれ…私みたいに良心は欠如していないのだろう。
話が変わるが加州や大和守の話によると鶴丸は結構な古い刀らしい。
「お近づきの印に驚きジジイとでも呼んでやるか」
「主ー、着替え終わった？」
「あ、加州、終わってるよ」
「じゃあ早速、髪いじらせて」
そういえば昨日の夜に同じような事を言っていたな、断る理由もないので大人しく座り加州は後ろに回る。
何とも楽しそうな顔で私の髪を触るのだ
「凄いな、言ってしまえば職人技だ」
「研究してるしね」
「ま、それだけ努力してるって事だ」
そっと頭を撫でる、愛されたいからと努力しているって事。
愛されないからと投げ出したままなのは違う、何かを欲するにはそれなりの代償が必要なのだ。
まあ、これに関してはその人によるけれど愛すって言うのは大体意識してするモノじゃない。
無意識でとってしまう行動なのだ、だから愛というのがなんなのか分からなかったのかもしれない。
突然の事に茫然と口を開けたままの加州、そりゃそうだろう、だって目の前の人はたった一日見ても、少なくとも
「加州？どうかしたか」
「べ、別に？」
慌てて顔を逸らし誤魔化す加州、それに対し少々顔が赤い事から照れているのかと撫でるのをやめた。
私も昔は初めて撫でられて周りに人がいるのにも関わらず、泣いてしまった記憶がある。
終わり
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作者名：楽凛 | 作成日時：2019年8月9日 1時
