転生した先は孤児で神主に拾われた (ページ10)

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九話目『崩壊の予兆』ページ10

いつから間違ったのだろう、何が悪かったのだろう。
父が出て行ったあの後、当然のように裏切られお金も半分取られたらしい。
これでは生活もままならない、母はパートで働き父は

「何で俺ばっかり…チッ」

人が変わったように酒や賭け事に次々とお金をつぎ込むようになった、私も幼稚園に行くようなお金はなくなり焦凍とは会えていない。
泣いていないだろうか、なんて思うほどに自分は少し頼りすぎだろうか。
母も日に日に弱り、父が出かけパートの休みの日に部屋で一人で

「大丈夫、大丈夫…いつかいつか、真白が自立するまで」

何度も繰り返し繰り返し呟いている。
完全に崩壊しようとしている、こういう時どうしたら良いだろう。
支えになるか、自分は、何をしたら正解なのだろう。

「煩えんだよッ…早く酒買ってこい」

「…ッ」

父がＤＶになってきた、最初の頃は殴ったことに酷く動揺し母に繰り返し謝っていたが今では当然のように殴られる。
母は壁に叩きつけられ、その振動で写真立てが落ちガラスが割れた。
このままではダメだ、行動を起こさねば壊れてしまう。
ガラスを拾おうと手を伸ばす。

「こっち来ないでッ！…あ…あぶ、ないの」

母に怒鳴られたのは生まれて初めてだ、母も動揺している。
発されたのはその一言だけ、黙ってガラスを拾い手を切った。
手から溢れた血を握りしめ血がついたガラスをゴミ箱に入れて、数分間眺めていた。