転生した先は孤児で神主に拾われた (ページ9)

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八話目『すれ違い』ページ9

もう大丈夫だと訴えるように堰が切れたように喋り倒す父と、わなわなと震えてその震えを抑えるように拳を握り下唇を噛む母。
やばい、これは間違いなく喧嘩になる。
母は下に向けていた顔を上げて、キッと父を睨みつけ頬を思いっきり叩く。

「何が幸せよ！そんなのただの嘘っぱちじゃない！
そんなもの信じ込むだなんて…何があったの？」

「……煩い！俺はただ、お前達を…」

信じ込んで饒舌に話す父の目は、最早狂気の沙汰。
いかほどまでに壊れやすいのやら、父は人一倍責任感を感じてしまう人だった。
何かに縋るほどで、出ていくその背中は信じて欲しかったと言っているようで悲しそうであった。
母も糸が切れたかのように床に座り込んだ、目に見えないモノに追い込まれている。

「…真白、大丈夫、大丈夫だからね」

「……」

私に抱きつき泣いてもいないのに、あやすようにそう言う母。
最も、泣きたいのは自分であろうに、母は溜め込む人であった。
二人はすれ違っていたことは瞭然だった。

「あ、おはよう真白」

「おはよう」

朝、必ず用意されて必ず手につけられない父の分の朝食。
日に日に、少しづつ母が変わっていくのは気づいていた。
でも溜め込む母は、気持ちを押し殺し心の中で大丈夫と繰り返す。