転生した先は孤児で神主に拾われた (ページ6)

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五話目『魔の手』ページ6

いつものように出勤、いや妻の朝食には手をつけなかった。
食べる気にはなれなくて、廊下を歩いていれば軽蔑や好奇心、敵(ヴィラン)を見るような目線が肌にピリピリと触れる。
もう知れ渡っているのか

「ハァ、今後二度とやらないように、君は格段に優秀だ、我が社の看板であったからには許されない

写真の件は有耶無耶にしておいた」

現実というものか、一体自分が何をしたというんだ。
あ、昨日妻を打った。
あんな小さな娘がした約束も守れなさそう、示しがつかないな。
心底呆れられたような社長の声も、ヒソヒソ話す声も耳に張り付いて取れない。

「ハァ…何やってんだよ」

周りの目を気にしすぎるゆえか、立て続けにミスを犯してしまう。
これではクビもそう遠くはない、するとポンっと肩に手を置かれた。
振り返ればニヤニヤしていた年上の部下が申し訳なさそうに顔を歪めてる。

「すまない、貴方がそんなことをする訳ないと思ってましたが私を数週間で出世して超えていく貴方に嫉妬して…」

「いいんですよ、同調していてもきっと結果は変わらなかった」

「そこでだ」

「え？」

良い話があるという、有耶無耶で終わったが会社内では動き辛く給料を下げられるなんて当たり前だろう。
そのせいで必然的に金が前より入らなくなり、生活費は何とか出来るが娘や妻のことだ。
少し窮屈にさせてしまっただろう、申し訳ない。
そのことで稼ぎ口があるとのこと、明らかに部下の口は歪んでいるだろう。
人間は窮地に陥った時、本当にわかりやすく目の前のものに縋り付く。