転生した先は孤児で神主に拾われた (ページ46)

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四十五話目『今日も』ページ46

精神科の入院の間、私は謝罪の事ばかり考えていたがもっと大事な事を思い出した。
焦凍や緑谷以外にも、玄朱さんも私の事件でメディアや他ヒーローとの話し合いや場をどう収めるかで忙しい中見舞いに来てくれた。
私は恵まれた環境にいたおかげで短期間で退院を果たした。

「真白」

「あ、焦凍、いらっしゃい」

「今日も頑張ってるみたいだな」

今日もヒーローに向けての個性の伸ばしと巫女の仕事をこなしている。
中学一年生になって長くなった母と同じ綺麗な黒髪を首らへんに赤い紐で結い、巫女服を纏っている。
人並みに大きくなったからか巫女服が一段と似合った気がする。

「姫巫女ー頑張るのはいいけど、病み上がりなんだし程々にね」

「いいえ！幼き頃から頑張ってきた人も必ずいるのです！途中から始めた私が頑張らなければ示しもつきませんし、勝てるはずがないのです！」

「分かった分かった、頑張る気持ちは分かったから、近づきすぎ」

なんだか今までよりも世界が違って見える、いつも通り気怠げに言う白狼に詰め寄りぐっと掌を握り饒舌に話し出す真白。
そんな彼女のやる気になっている背中を真顔で眺める焦凍と面倒臭そうにあしらう白狼、もう既に日常の風景を取り戻していた。

「それより姫巫女、大丈夫なの？あの家族らは…目の前で殺された彼女、凄く愛されてたらしいね」

「今後、どうなるか分からないでしょうけど私に不手際がありました、どうにも立ち直りは遅いでしょう…今度謝罪に行きます」

別に気にする必要はない、元々期待していないとか既に言われているだろう。
でも今の彼女は言っても聞かない、彼女は変なところで頑固で馬鹿真面目で無知で物知りなのだ。
もしかしたら、また傷つくかもしれない、その時は互いに癒そうか。