転生した先は孤児で神主に拾われた (ページ44)

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四十三話目『幸福？』ページ44

緑谷が来る前の何週間の間、幻影、嫌悪感、吐き気、幻聴、頭痛に悩まされた。
夢にまで出てくる始末、緑谷と会った時に全てから解放されたようにそれら全てが消え去った。
救われた、そんな感覚が二日経った今も残っている。
だけれど

「大丈夫か」

「うん、最近落ち着いてきたし直ぐにでも退院はできそうだって…だから大丈夫」

「！」

そう言ってニコッと笑う真白は少し不自然だ。
救われた解放されたと言っても壊されたモノは一度背負ったモノは大きく重い、だから自分なりに謝罪して前へと進もうかと言うのが真白の考え。
当たり前のことだが真剣に取り組む、何にしても変なところで馬鹿真面目と彼女をよく見る人からは言われる言葉だ。

「それなら良かった…真白」

「ん？」

「昔、俺に何か個性を使ったよな」

個性？私は焦凍に…あ、確かに焦凍の為になるように未だ不確かな用途で使った。
しかし何故、今その話を？と思い疑問から首を傾げる。

「あ、いや…使った時額に模様が浮かび上がって、真白は小さい事なら何でも叶うって言ってたよな」

「確かそうだったね、その時は力が弱かったから小さな事しか叶わないし…今ならどうだろう」

「それで、人の感情って変えられるのか？」

個性を使ったのは弱かった時、今はどうか知らないがそれほど強くはないはず。

「力があれば出来るかもしれない、けど……え？願ったの？」

「あ、いや…元気そうだったから、真白が救われますようにって」

焦凍のその言葉を聞き、一時停止した真白。
何かいけない事を言ってしまったかと焦るが、そういう訳でもない。
何故だか胸の奥からじわじわと広がっていく暖かな何かの感情の名は知っている、嬉しいのだ。
一時的に感じた事のある感情、いつも短く、長く続かない感情が何故かいつまでも続くような気がした。