転生した先は孤児で神主に拾われた (ページ43)

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四十二話目『理由』ページ43

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「人って性格が歪むよね、人ならの良心でも助けられたとしても…その全ては結局は自分の為なんだと思っていた事はあるよ」

「悪いの？」

「…え？」

人を助けるとして見返りを求めるのはみっともない、なんてよく言われる事だろう。
私だって人間だ、私の中での矛盾は数え切れないほどにある。
無意識に作ってた座右の銘なんて『どんな人でも人間なのだ』という言葉、全ての人を許容している。
なのに自分だけは許せないタチで、現実と現状に苦痛を強いられる。

「僕はどんな人でも人を救けられたらカッコいいと思うよ」

「！…助けられなかった」

「救けようとしたって聞いたよ」

許されるような、諭されるような、憧れを話すような緑谷の笑顔。
救けなきゃって思った、体が勝手に動いていた。
あの感覚は何だったのだろう、その時自分は何の為に動いたのだろう。

「救けたいからって理由はないのかな」

「救けなきゃって思ったけど…自分でもよく分からない」

助けられたらどんなに良かったことか、もうあの現状は繰り返したくはない、繰り返してはならない。
救けられる力があったならば、繰り返す事はもうない。

「自分の為だけど、君と同じ目標…目指していいかな？」

「勿論！ライバルだね」

嬉しそうに好きなことを語る時と同じ笑顔を浮かべた君は、正しく私のヒーローだ。

悲しくも嬉しくも、誰かが助けられる事によって誰かが救われる事も少なくはないのだ。
あの似たような傷を背負った少年も少女も、それを救う彼も、同じ事だろう。