転生した先は孤児で神主に拾われた (ページ5)

今日:21 hit、昨日:3 hit、合計:42,742 hit

四話目『全ての訳』ページ5

朝起きれば母の頬が赤を通り越して紫に腫れていた、私は慌ててガーゼを貼った。

「ありがとうね、真白」

「ううん、何があったの？」

「…ちょっとぶつけただけよ、直ぐに治るわ」

父はもう既に出かけたらしいが、三人分の朝食がまだ余っている。
美味しいと言って笑って食べてた父の姿が思い浮かぶ。
手につけず仕事に行った、何があったのだろうか。
母は笑顔でいるが肩を微かに震わせている、何か言おうと口を開けば遮られる。

「ほら、幼稚園行かなきゃ遅れるわ」

「お母さん…」

「ほら早く」

お母さんに手を引かれるまま、幼稚園へと向かった。
少しだけ先生は早口に母と話し早々に私を連れて、戻っていった。
あの先生の面倒事に巻き込まれたくないと言いたげな顔は

「真白、ちゃん？大丈夫？」

「焦凍くん、何が？」

「いや、真白、ちゃんの父親が犯罪を起こしたって噂が流れてる」

「え？」

犯罪？一体何の罪を、だから先生と皆は自分を避けているんだ。
父の様子がおかしかったことも全て合点が行く。
急に黙った私にまだ幼い焦凍はアワアワと焦る、が又私は笑顔を取り繕って大丈夫と言った。

「それと、ちゃん付けじゃなくていいよ、慣れてないんでしょ？」

「じゃあ、こっちも焦凍でいい」

少し安心した焦凍とは、打ち解けたような気がする。
確かこの子は、漫画の重要人物だったような気もする。