転生した先は孤児で神主に拾われた (ページ29)

今日:20 hit、昨日:3 hit、合計:42,741 hit

二十八話目『最悪は反転し』ページ29

小さな喧嘩の事件から数日、休みの日で境内をいつも通り掃除をしていた時。
恐れていたことが起こった。

「まさかお前が人殺しを匿うなんてな」

「何のことかな？別に人殺しなんていないよ？」

「まずいね、これ」

顔一面覆う炎、赤い髪と青い目、焦凍と半分似た姿。
人影が見えた時、玄朱さんが早くに現れ部屋に入っているように伝えられた。
白狼も連れて影から玄朱さんとエンデヴァーのやり取りを見ている。

「姫巫女、焦凍君とやらに会えなくなるかもよ？」

そう言って腕の中にいる白狼は私の顔を見上げる。
自分では分からないのだ、確かに会えないのは寂しいだろうが一緒にいることで人殺しを擁護する奴と汚名は背負って欲しくないという気持ちも前々からある。

『やってないことは素直に言え』

今、一瞬に思いついた。
誰しもが傷付かず、人を殺してはいないと皆が分かる方法。
何故思いもよらなかったかは、認めていたからであろう。
その方法は簡単、否定し続ければいいのだ。

「焦凍にはＮｏ．１ヒーローになるべく教育をしている、だが人殺しと共にしていればヒーローも夢のまた夢
最近、小さな喧嘩だが暴行があった、これは将来に支障を来す」

「だから、会うのを止めろと？…お答え出来かねます」

「…やっていないと頑なに言うが、そもそも本人はどうなんだ？…なぁヴィラン」

「エンデヴァーッ！！」

流石はＮｏ．２ヒーロー、息を止めていても気付かれる。
ヴィラン、あの時は言われたくなかった。
今となっては人殺しの方が言われたくはない、ありもしない事実を突きつけられているような気がするから。

「違う、私はやっていません」

初めて見る、ヒーローエンデヴァー。
その人の認識は焦凍やテレビのみの情報、実際見たことはなかった。
その情報を聞く限りでは、酷い人と言えるだろうが私は自分の目で確かめてその事実を否定しよう。