転生した先は孤児で神主に拾われた (ページ26)

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二十五話目『抜け出した後』ページ26

それからというもの、焦凍は傷を増やしながらも笑顔もまた増えていった。
再開した日はスパルタ指導から抜け出し、ここへ偶然来ていたということ。
私が境内で掃除をしている時間を見計らって来ているらしい、そして今日もまた遊びに来ていた。

「真白ちゃーん、神楽の練習…あれ、その子」

「巫女の子ー、自由にしてくれるのは嬉しいけどほっとくのはどうかと思っ…」

「玄朱さん、白狼」

襖から顔を覗かせた玄朱さんと肩に乗った白狼がこちらに呼びかけてくる。
焦凍に見覚えがあるのかじっと見つめる玄朱、だが直ぐにいつもの笑みに戻る。

「…友達？」

「はい、幼稚園の頃からで」

「轟焦凍です」

「ふぅん、まあいいさ、うちの姫巫女の神楽でも見ていきなよ」

白狼は神獣というだけあって、力も知識も多い。
巫女のことについて教わることも多く、頼りになる。
本来巫女は時が読めたり結界を貼れたり、といったことを教えられたり神楽のことも指導してもらえる。
そのこともあり、巫女としての役割と神楽も上達していった。

「…綺麗」

静かにゆっくり、だけど素早く。
鈴を鳴らし一歩進み回る、元の体制に戻り繰り返す。
その姿を見てそうこぼされると、照れるものは照れる。

「綺麗だったよ！」

「そ、そうかなぁ」

素直に褒められると照れる、前世では何もしてこなかったし頑張りもしなかったから褒められることはそうそうなかった。
頑張って正解か、この子に褒められるとなぜだか誰よりも嬉しい。