転生した先は神主に拾われヒーローを目指すそうです (ページ27)

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二十六話目『悪いって分かってる』ページ27

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ヴィランみたい。
私の最も嫌う感情が入り混じっている。
軽蔑という悪を許さないと正義を盾とし、相手を完膚なきまでに陥れる。
それが前世でも今でも、嫌に腹が立つものだった。

「………貴女は可哀想じゃない」

「ひッ……何なの！」

身勝手な感情が真白の中で暴れた、真白の黒い何かがチラリと見えた気がした。
そんな自分が昔から嫌いであった、正しいと心の奥底で思ってた。
悪人もまたアレだが、それ以上に悪と蹴落とす善人もまた嫌いであった。

蹴落としたら善人ではないのでは、と思うかも知れないが被害者が加害者を厭うのは当然だ。
した方をされた方が嫌悪するなんて普通だろう、した方が必然的に悪いのだから。

救いようがないとは言うが、それは輪花のような子に使う言葉ではなかろうか。
本当に哀れに思う、救いが無い。
輪花の頭を撫でていつの間に溢れてしまう言葉は、私とっても無責任に等しい言葉。

「可哀想に」

お願い。
お願いだから、蹴落とさないで。
被害者だなんて思ってないから、自分が悪いのだから、本当にそう思ってるから。

悪人は幸せにはなってはいけないなんて、暗黙のルールなんて既に誰でも守っているから。
でも辛いものは辛いんだ。

嗚呼、貴女は良いね。
善人なのだから、何にも汚れていない目なのだから何にも汚い物なんて触っていない手なのだから。

私は汚い感情を持った、汚い正義を持った、汚い思考を持った“悪人”と言う名の人。