ふたりの世界。 (ページ23)

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23. 橙side ページ23

朝ごはんを一緒に食べて、テレビもおもろいのやってないからとNetflixを見漁ることにした。俺と亮ちゃんが気になってた映画がたまたま同じだったのでそれを見ることにする。推理ものだけど結構ホラーな感じらしく、内心俺はそっちにワクワクしていた。

「っ、丸」

「どしたん亮ちゃん」

無言で俺を腕に手を絡ませて顔を画面から背ける。脅かし要素と虫が大量に飛んでくる描写に怯えてしまったらしい。

「もうない？びっくりするやつ。なあ丸！」

先程の亮ちゃんよろしく無言を貫くと、涙目のうさちゃん。『まるぅ……』とこちらを上目遣いで見上げる姿は庇護欲を掻き立てられると同時に、あかん。俺の俺があかんことになる。

「ないよ。大丈夫やって」

ほんまにぃ……？って、さっきからひらがな発音だし語尾が伸びてる。顔は画面の方に向いたものの、腕は絡まったまま。そんなに密着されたら、俺今日何するか分からへんで。亮ハジメテやろし、優しくせな……。

煩悩に飲まれたまま映画は気づいたら終わっていた。中盤から終わりにかけて全く集中できひんかったんやけど。このうさぎめ。

「面白かった！途中ちょっと怖かったけど」

「亮ちゃんビビり倒してたやん。集中したら腹減ったわ、なんか食べよ」

二人でコンビニに飯を買いに行こうと準備をしていると、放置していた互いのスマホが通知音を鳴らした。

「すばるくんからや」
「俺も」

『話したいことがあんねん、土手きて』

俺にはもう心当たりがあったが、亮ちゃんははてな顔。仕方ないなあと思いつつ、飯を食べる場所をファミレスに変えることを告げて準備を続けた。