ふたりの世界。 (ページ20)

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20. 紫side ページ20

幼い頃から俺と丸はずっと一緒だった。幼稚園と小学校は確実に。中学校は一緒だったかも知れないが同じクラスにいた記憶はない。

小さい頃からあいつは変わり者で、大人ですら怖がって見ないような映画や漫画を平気で見るようなやつやった。代わりに恋愛モノとか家族系のそれらに対してはほとんど興味を示さなかった。

「村上くん？どうしたん？」

「ああ、なんでもないで。気にせんで」

コンビニで弁当を選んでいたら、たまたま亮と遭遇した。亮を見ていると弟といる見たいで俺が守ってあげなという気持ちになるなあ。

「亮。丸と付き合ってて、幸せか？」

思わず深刻な声色になってしまう。高校生になってからの丸は、少し怖いから。

「いきなりやなあ。うーん、男と付き合うんは初めてやからあれやけど、結構楽しいし満たされてるで」

亮はニコニコと答えた。ピアスも丸に開けてもらいたいねんと耳たぶを触る姿は本当に嬉しそう。

「あ、せやけど、ちょっと気になることがあんねん。丸な、横山くんとかすばるくんと話してるときは普通やねんけど、村上くんと喋っとるときはちょっと顔怖いねん」

なんでやろなー、村上くんなんかしたん？と眉を下げて聞いてきた。俺何もしてないでーと返すと、周りの雑音に混ざって舌打ちが聞こえた。

音の方に顔を向けると、丸が立っている。一瞬俺に凍り付きそうな視線を寄越すと亮と喋り始め、俺の存在は空気となった。

なんで、こうなってしまったんやろ。溢れ返りそうな疑問符を抱えながら家に帰った。