ふたりの世界。 (ページ19)

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19. 橙side ページ19

真っ暗な空間にいるのは嫌なので、電気をつけた。滅多に帰ることが無かったので散らかっていることもなく、目の前に広がるのは無機質なフローリング。

小さい頃は漫画とかアニメのDVDが自分の部屋にとっ散らかってて、いつも親に怒られながら片付けていた記憶がある。今じゃそんなものにハマるわけもなく無趣味を極めているというのに。

「腹減ったあ、コンビニ行こ」

制服のまま、近くのセブンイレブンに向かう。とっくに日付は変わっていたけど全く眠くない。最近は眠気を感じなくなった。

「ん……なんやあれ」

自動ドアを開け通路を奥に進み弁当コーナーに行くと、見慣れた後ろ姿。亮と村上先輩。

「なんでこんなとこおんねん。亮はともかく……」

思わず舌打ちが漏れる。出来るだけ、学校で見せている自分に近いような声を出した。

「あれ、亮ちゃんと村上くん！偶然やねえ」

村上先輩は明らかに気まずい表情をしている。亮ちゃんは至っていつも通りや。

「おー丸。腹減ってな、唐揚げ弁当買いに来てん。したらたまたま村上くんに会うた」

「そっかー。僕もお腹すいてもうて、なんか買いにきたんよ。せや、亮ちゃん、僕の家来うへん？今家に誰もおらんくて寂しいねん」

「ほんま？俺も多分家帰っても一人やから行くわ。じゃあ村上先輩、また」

亮ちゃんは先輩に会釈して唐揚げ弁当を手に取り、俺を急かした。俺は適当に目についたしゃけおにぎり弁当をレジに持っていく。

会計を終えて外に出ると、亮ちゃんが無言で手を差し出してくる。俺も無言で握り返して、二人で家までの夜道を歩いた。