ふたりの世界。 (ページ18)

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18. 橙side ページ18

暗い夜道を、よお知らん先輩と歩く。皆でいるときに多少は喋るけど二人きりで話した事はほとんどない。

「なあ丸、勉強はちゃんとしとるか？丸は頑張れば出来るんやから、頑張らな勿体無いで」

鬱陶しい。なんでこんな馴れ馴れしいん。人のこと言えないし先輩やけど、こう思わざるを得なかった。

「おん、しとるしとる。せやけど村上くんは僕より頭ええんやから僕のことは構わんと勉強せな」

勉強の話とか将来の話とか、真面目な話は嫌いだ。あんまり記憶はないが子供の頃からそういう話は避けてきた記憶がある。

「そうか。後な、激しい束縛はあかんで。亮がいつ離れていくか分からんからな」

不意に、やり場のない感情が僕に襲いかかる。気づいたら舌打ちをしていた。

「あんまり俺の亮に関わらんといてくれます？よう知らん他人のお説教なんて聞きたくもないんですわ」

「先輩だからって後輩が何でも言うこと聞くと思わん方がええですよ」

それじゃあ、と吐き捨て家のドアを開ける。先輩は何も言わずに帰っていった。いや家隣なんかい。初めて知ったわ。

久しぶりに家に帰った。誰もいない真っ暗な部屋に、最近感じていなかった寂しさを覚えた。