愛してるのに愛せない (ページ26)

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涙ページ26

最近、剛くんが暴れるようになった。

暴れて、私を傷つけて泣いている。

目がつけられないほど、悲しそうで情緒が乱れてる。

『剛くん……。』

剛くんは、私を睨みつけた。

『どうせお前だって離れていく。だからな、僕決めてん。』

剛くんがナイフを取り出した。

『お前の手足を奪ったら僕から逃げることなんて出来へんくなるやろ。』

『やめて！剛くん……正気？』

『おいで。痛くないで。』

『痛いに決まってる！ってか、痛くなくても嫌よ！』

剛くんは無邪気に笑った。

『大丈夫。僕がちゃんと何不自由なく暮らさせてあげる。仕事もやめてずっと2人で暮らしていこな。』

『嫌！やめて！！』

剛くんと私は揉み合いになった。

『何で、拒否するの？あぁ、じゃあ、こうするか。』

『僕が手足を切るよ。そしたらずっと世話してくれよ。』

『剛くん！そういう意味じゃない！』

『自分の腕に刃を向けていた。』

やめて！必死に掴んだ右手は震えていた。

『どうすればええ？怖いねん。Aが離れていくその日が。怖くて堪らない。母さんみたいに……どうせ、離れていくんやろ。』

『剛くん……。』

お母さんがどんな人かは知らない。

でも、剛くんがにとっての最後の砦が私なんだと思う。きっと、私が離れたら剛くんは……本当に死ぬ。