愛してるのに愛せない (ページ22)

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幸せページ22

目が覚めたら、彼女が僕を抱きしめるような形で寝ていた。

顔もすごく近くて、まるで僕を守ってくれるような体制で。

少し顔を上げれば開けたままの檻の入口。

『逃げ出さへんかったのか。』

すると彼女も目を覚ましたようで……。

『おはよ。』

『……おはよう。』

『ご飯……何がいい？』

『スープ。』

『分かった。ちょっと待っててな。』

頭を撫で、しっかりと扉を閉めた。

スープとパン、サラダを作りプレートにのせて運んだ。

僕はあまり食べる気がしなくて、彼女一人の分だけを用意した。

『A。出来たで。』

彼女は少し嬉しそうにしていた。

『美味しそう。……でも、一人分しかないよ。』

『あぁ。僕はあんまりお腹すいてないからAの分だけやで。』

『ダメだよ。ちゃんと食べないと。半分にしよ？』

Aはいただきますと言って、綺麗に半分ずつ食べていった。

『ほら、剛くん。後は食べて。』

『僕……本当にお腹すいてない。』

『……じゃあ、昼は食べてよ。』

そう言って全部平らげた。

『ご馳走様。ありがとう。』

すっごく綺麗に食べていて、こういうとこが好きなんだよな。としみじみ思った。

普通の恋人みたいですごく幸せな気持ちになれた。