愛してるのに愛せない (ページ21)

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首 sideA ページ21

起きたら、朝で檻の扉が開いたままだった。

剛くんは私にしがみついた形で寝ていて、頬には涙の跡。

『そうか……。昨日、首……。』

首を触ったらまだ痛む。

今なら逃げ出せる。逃げ出せるけど……。

『……行かないで。』

剛くんが寝言でそんな事をいって、苦しそうな顔をした。

『剛くん、』

頭を撫でたら少し苦しそうな顔が和らいだ。

顔を剛くんに近づけたらいい匂いがした。

私の好きな剛くんの匂い。

剛くんがなにかにすごく悩んでいて、精神安定剤や睡眠薬がないと生きていけない体になっていることに気づいたのは最近だった。

剛くんの何を見て生きてきたんだろう。

何で苦しんでる時に何も気づかなかったんだろう。

自分で自分が許せない。

今の状況から逃げ出したい。でも、剛くんを見捨てて逃げたとしても、きっと私は幸せになんてなれない。

『好きだよ。』

この気持ちだけは嘘じゃない。

この気持ちだけは変えたくない。

そのまま、次は私が剛くんを抱きしめるような形で瞼を閉じた。