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翌日、梓くんと一緒に再び彼の事務所へと足を運んでいた。
近藤さんと話をするために。
私達の気持ちとこれからのことについて。
「待たせてすみませんね。それで、話とは。」
近藤さんの目をまっすぐに見据える。
「先日のお話についてです。」
「先日の……。ああ、新華が朝日奈さんの代わりをするという話でしたね。」
「はい。そのお話をなかったことにしていただきたいんです。」
私の言葉に近藤さんの眉が微かに上がる。
「それはそれは。自分が危険な目に遭う可能性があることはわかっているのですよね。」
「もちろんです。」
「では、何故。」
まるで見定めるような視線を向けてくる近藤さんに、私は包み隠さず自分の気持ちを伝える。
「嫌なので。
本当のことを隠して逃げて、そういうのはもうやめようと思いまして。」
なので自分は大丈夫だと何度か伝えると、近藤さんは溜息を吐きながらも理解してくれた。
梓くんはまだ話があるから私だけ一人、先に退出する。
扉を背に、ふう……と一つ息を吐くと、ためらいがちに声をかけられた。
「あの、朝日奈さん……。」
声の方へと視線を向けると、そこにいたのは新華さんだった。
「ごめんなさい。今の話、聞いちゃいました。」
本当に申し訳なさそうな顔で謝罪する彼女に焦る。
謝るのはこっちの方だ。
「新華さん……。あの、すみません！貴方の仕事を取っちゃって―――――」
「―――――ありがとうございました！」
がばっという効果音が付きそうなくらい勢いよく頭を下げる。
そんな彼女の姿に、ぽかんとしてしまう。
「え？」
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作者名：にじまつ | 作成日時：2020年4月16日 12時
