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しばらく歩いて着いたのは人気のない公園。
ここは、椿くんの残念会を行った公園だった。
あの日も、静かで誰もいなかったな。
「俺なら……、俺ならもうAにそんな顔させない。」
真剣な表情。
「……え？」
何を言っているのだろう。
「え？って、自分で気づいてないの？……A、今、泣きそうな顔してる。」
そう言われてみれば、目頭が少し痛いような気がする。
「そんなことないよ。椿くんの勘違いだって。」
「嘘。誤魔化さなくていいから。」
「嘘って……。私が違うって言ってるんだから、嘘も何もないよ。」
「俺、もうそんな辛そうなAは見たくないんだよ……。」
私にはそう告げる彼の方が辛そうに見える。
「俺がAに嫌いだって言って傷つけた時、俺も辛かった。
Aに告白した時にも言ったけどさ、本当に後悔したんだよ。
そんであの時、これからはたくさん笑顔にさせてやるんだって決めた。
だから今、Aにそんな顔させてる梓には渡したくない。
全部、全部忘れさせてあげるから、俺にしてよ。
俺を選んでよ、A。」
硬く抱きしめられる。
全てのものから守るように。
私はそんな彼の胸を軽く押す。
「……離れて。」
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作者名：にじまつ | 作成日時：2020年4月16日 12時
