嫌よ嫌よも好きのうち《 Shoma.Uno 》 (ページ49)

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貴方.

「……俺以外のところに行ったら、許さないから」

力強くて半ば強引な昌磨の言葉が脳内に響く。ぼやっとする頭で必死に考えたけど、それはつまりどういうことなんだ。俺以外のところ？それってゆづくんのところとか、刑事くんとか、他になら一希とか？

謎だ。何で昌磨にそんなこと言われるんだろう……付き合ってもないのに、なんて。

「どうしたんだい？A」

『あ、コーチ』

「浮かない顔をしているね」

『そんな顔してましたか……？！すみません』

「謝らなくていいよ。思春期の女の子なら悩み事はたくさんあるだろう」

にやりと笑ったコーチの言う「悩み事」は、色恋沙汰のことを言っているんだろう。つまり……私は昌磨のことを、そういうことで悩んでいると？

そう言う方向に考えれば考えるほど顔が熱くなって、頭がパンクしそうになった。

「いいかい、A。男っていうのは不器用なんだよ」

『不器用……』

「ああ。言葉にして伝えるのが得意なタイプと、そうじゃないタイプに分かれる。……まあ、昌磨は後者だろうね？」

『なっ、ちょっと、誰も昌磨とは……』

「言わなくても分かるさ。仲良くやるんだよ」

私より何枚も上手のコーチは、そう言って「さあ、休憩しておいで。昌磨もだよ！」と、遠くにいた彼にも呼びかけた。

……不器用、ねえ。