嫌よ嫌よも好きのうち《 Shoma.Uno 》 (ページ46)

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昌磨.

「……」

ゆづくんが俺を見たときのその目が全てを物語っていた。あれが嘘なわけがない。……試合のときのような、鋭すぎる視線が俺に突き刺さった。

差し詰め、蛇に睨まれた蛙……とでも言ったところか。感じたことのない圧力に押し潰されそうになり、立っているのもやっとな気がした。ゆづくんに告白されたAは、照れるなんてそんな表情よりかは、驚いて言葉も出ないというような顔をしていた。

その後、ゆづくんと別れると、Aはふらふらと頼りない足取りで自室へ帰って行ってしまった。慌てて追いかけたけど、目の前で扉が閉められてしまって、今に至る。

……声をかけるべきなんだろうか。そもそも、このことに俺の関与は必要なのか。ていうか、何でこんなに気になってるわけ？自分でも意味が分からない。

Aがゆづくんと付き合うことになったら、そう考えると無性に腹が立つ。どうしようもないくらいぐちゃぐちゃに渦巻く感情が、気持ち悪くて仕方ない。

「……A？いる？」

ずっと立ち止まっているわけにもいかない。そう思ってドアをノックすると、ガチャリと鍵が開けられた。……自分で入れってことか。

今まで感じていた気まずさは何処へやら、とりあえず話がしたくてドアノブに手をかけた。