嫌よ嫌よも好きのうち《 Shoma.Uno 》 (ページ44)

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昌磨.

『わあ……！綺麗！』

三人で夕食を終えると、ゆづくんが連れてきてくれたのは、トロントの夜景の名所らしい。
そこまで混んでいる様子もなく、落ち着いた雰囲気に少しだけ安心した。観光名所であったりすると、人が多くて怖い。結構遅い時間というのもあって、何組かのカップルがいるという程度の混み具合だった。

Aはいつもよりお洒落をしていて、やっぱりゆづくんのことが……なんて余計なことが頭に浮かぶ。もしそうだとしても、俺には関係ないのに。

「女の子ってこういうの好きだよね」

『普段の練習帰りじゃ、こんな景色見れないもん』

「そりゃそうか。男は夜景とか興味ないよね～、特に昌磨！」

「……当たってる」

「あはは、俺もだよ！」

楽しそうに笑いながら俺の肩を抱くゆづくん。久々に会えたのもあって嬉しいけど、今は別だ。ゆづくんは見たこともないような大人の表情でAを眺めている。……何かとても大切なものを見つめるような、愛おしげな瞳で。

「……ねえ、昌磨とAは本当に付き合ってないの？」

『え？』

「ゆづくん……？」