嫌よ嫌よも好きのうち《 Shoma.Uno 》 (ページ39)

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昌磨.

「な、泣かないでよ、」

『っう……こわ、かったの、』

いつもなら俺に頼るのなんて悔しくて嫌だと言うのに、今はただ泣いて「怖かった」と繰り返すA。「分かってるよ」と言えば、また泣く。

どうするのが正解なんだ……
幼い日の俺は、泣いてしまったAを……どうやって泣き止ませていたんだろう。

《しょーま、しょ、ま、》

《 A…… 》

《悔しい、しょーま、……て、》

《 ……分かった。おいで、》

……そうだ。Aは、試合で負けて悔しくて泣いていたとき、俺を見つけるとすぐに「ぎゅーってして」と言っていた。そんなのが今も通じるかは分からないけど、恥ずかしいけど、今ここでそれを避けたら、まるでコイツを好きだと認めているみたいで嫌だった。

『……しょう、ま？』

そっと優しく抱き締めると、Aは声を震わせながらも俺の名前を呼んだ。やっぱりこういうのは慣れないし恥ずかしいけど、今は非常事態だ。仕方ない。

「試合で負けたとき、いっつも泣いてただろ？そのときは俺が慰めてたの覚えてる？」

『うん、……ぎゅっ、て』

「そう。落ち着くならこのままでいいけど。……嫌なら離れるから、」

そう言って離れようとしたのに、Aは俺の背中のシャツを掴んで離さない。「もう少しだけ」と呟く声は、小さくて、か細くて、……女の子のもので。

「……そんなスカートとか履くから、狙われるんだろ。」

『でも……こういうときは、そういうもんだって』

「あんまりオシャレすると危ないから。可愛い格好だって危険だし……」

『……可愛い？』

「…………服が！！」