嫌よ嫌よも好きのうち《 Shoma.Uno 》 (ページ32)

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貴方.

『今日も跳ぶぞ～』

今日こそは、今日こそは4回転フリップを、と思い続けて早一週間。両足着氷や、何とか堪える形ではあるけど、派手な転倒は少なくなってきた。

このくらいの時期になると、中京高校に通う学生スケーターともよく会う。今年から入学した子で言えば、真瑚に会えるのではないかと少し嬉しく思った。

「……あれ、Aちゃん？」

『真瑚！思ったそばから！』

「何のこと……？」

『こっちの話だから気にしないで？また大きくなった？』

「Aちゃん、それ毎回言ってるよ」

そう言ってへらりと笑う真瑚が可愛くて仕方ないし、真瑚に慕われている昌磨が物凄く羨ましい。何かと「昌磨くんとAちゃんみたいになりたい」と言ってくれるけど、私なんてまだまだそう言ってもらえるような選手じゃない。

身長だって抜かされるんじゃないか、と一時期はひやひやしたけど、今は5センチだけ私の方が高い。良かった。せめてもの威厳。

「4回転跳ぶんだよね？」

『皆知ってるのがかなり怖いなあ……うん、そうだよ。フリップなんて無謀だって思われるかもしれないけど、着氷には成功してるからね』

「本当に？！」

『本当。昌磨にだって負けないよ』

「凄い！Aちゃん凄いよ、！！」

かなり大口叩いたけど、まあ聞かれてないだろうからいいや。そう思っていると、後ろから何かが思いっきり乗っかってきた。